どうもです.
船欲しい船欲しいと言っている私ですが,まぁ,それは10年後・・・・.
10年間を見据えた長期計画がある模様です.
さて,今日は漁船の燃費について書きたいと思います.
遊漁船の料金を釣りをしない一般の方に言うと,ほぼほぼ「高いね!」という返事が返ってきます.一般人的な感覚で言えば,そうなのかもしれません.
しかし,遊漁船業を営むには色々な経費がかかってきます.
船があるから経費ゼロで出船できるわけではありません.
ドッグに上げて船底をきれいにしたり,エンジンオイルを交換したり,その他の消耗品を交換したり,色々なところで経費はかかります.
そんな経費のうち,大きなウェイトを締めているのが「燃費」だと思います.
漁船,遊漁船のおおよその燃費やまたその節約方法について忘備録的に書いておきたいと思います.
水産総合研究センター水産工学研究所の漁船漁業の省エネルギーに向けてというファイルを基に説明します.
http://nrife.fra.affrc.go.jp/seika/syouene/guide.pdf
漁船燃費の単位
そもそも,車であれば,燃費の単位に km/Lという単位を使いますよね?
車で燃費は?と聞かれて,15kmぐらいだねぇ.なんて答えると,基本的にはガソリン1Lあたりの走行距離を示しているなと車やバイクに乗る人ならすぐに分かるわけです.
では,漁船の場合,普通どういういい方をするでしょうか?
漁船の場合,よく使われる,燃費の単位は L/hです. つまり.1時間あたりに消費する燃料の量を燃費と呼びます.
なので,燃費どれぐらい?と言われて,50Lだねぇ.なんていう回答になるわけです.
しかし,当然ながらエンジンの回転数(スピード)によって,燃費というのは変わるわけなので,◯◯ノットで50Lや◯◯回転で50Lといったほうがわかりやすいですね.
ということで単位がわかったところで,実際のデータを見ていきましょう.
漁船の燃費色々
※船の大きさは基本的にトン数で表します,また,トン数の中でも総トン数(Gross Tonnage:GT)を使用します.ま,簡単に言えば容積ですね.
参照pdfの一番最初の項目に4.9トン型の一本釣り漁船というのが出てきます.
だいたい船の長さにして45フィート〜50フィートぐらいと思えばOKです.
遊漁船で言えば,片舷4人〜5人乗る船ですね.
これをみると,14.5ノットで約50L/h,13.5ノットで43L/h,12.5ノットで37L/hとなっていることが分かります.
1ノットというのは1.852km/hです.1時間に1海里進む距離.
つまり,皆さんの慣れ親しんだ単位に換算すると.
14.5ノットは26.854km/h
13.5ノットは25.002km/h
12.5ノットは23.15km/h
となり,それぞれの1時間あたりの燃費が50L/h,43L/h,37L/hということなので,
燃料1Lあたりの燃費を算出しますと
14.5ノットで 0.54km/L
13.5ノットで 0.58km/L
12.5ノットで 0.63km/L
ちなみに,一日に200km走るとして,走る時間は
14.5ノットで7.45時間
13.5ノットで8.00時間
12.5ノットで8.64時間
次に,4.9GTのきんめ船の燃費が出てきます.
ここでは
20ノットで82L/h
19ノットで75L/h
18ノットで68L/h
となっており,馴染みの燃費に換算すると
14.5ノットで 0.45km/L
13.5ノットで 0.47km/L
12.5ノットで 0.49km/L
となります.1時間あたりそんなに燃料使うの?と思われたかもしれませんがこんなもんです.我々は車に慣れすぎているので.
ちなみに200km走るとしたときにかかる時間ですが
20ノットで5.40時間
19ノットで5.68時間
18ノットで6.00時間
となります.2ノット落としても,0.6時間,つまり36分ぐらいしか違わないわけです.
※ちなみに200kmというのは鹿児島でいえば,例えば串木野と宇治を往復するぐらいの距離です.実際川内ー宇治間はもう少しありますが,おおよそで言えばとなります.
では200kmでどれぐらいの燃料を使うのか?というと?
先に出てきた,一本釣り船で言えば
12.5ノットで320L
13.5ノットで344L
14.5ノットで372L
きんめ船で言えば
18ノットで407L
19ノットで426L
20ノットで443L
となります.まぁ,大体,400L前後ですね.これは行き帰りだけでの話しで実際の遊漁船はポイント移動も多いですから・・・・結構な燃料を使うということがわかると思います.
また,これは比較的小型な船です.もう少し大きい船の例がその下に出ています.14トン級の引き網漁船です.船体としては70フィートクラスです.
イメージとしては宇治とか男女とかの瀬渡し船よりは3mぐらい小さい船体ですね.
こちらは
20ノットで116L/h
19ノットで103L/h
18ノットで91L/h
ちなみにグラフからその他のノットも読み取ると
16ノットで68L/h
14ノットで48L/hとなります.
これらをまた馴染みの単位に換算すると
20ノットで0.32km/L
19ノットで0.34km/L
18ノットで0.37km/L
16ノットで0.44km/L
14ノットで0.54km/L
となります.
20ノットで航行すれば200kmでも626Lも燃料を使います.
船のことをあまり知らない人はびっくりしますよね.最強の車ブガッティ:ベイロンの400km/hで走行時でさえ,0.8km/L は燃費があると言われています.巡航時では5km/Lとも・・・.つまり,漁船はベイロンの10倍ぐらい燃費悪いわけです.
とまぁ,少しイメージをわかりやすく書いてみたつもりですが,回転数を下げて,ゆっくり走れば,燃費は向上するということが分かりました.
遊漁船でもゆっくりしか走らない船もあれば飛ばす船もあります.
ゆっくり走ってる船が居ても,節約のためにはしょうがないんだなと思いましょう(笑.
仮にの話ですが,1航海あたり,10000円(100Lないぐらい)燃料代が違うとして,年に100航海でればそれだけで100万経費が違うことになりますから・・・.大した額ですよね.それにエンジン回せばそれだけメンテも早くなりますしね.
ちなみに・・・・私がカヤックにつけているジェイモ1馬力くんですが,全開走行時は30分ちょっと持たずにで450mlが空になります.たいだい,1hあたり1Lですね.そして,走行はだいたい8km/hぐらい出ますから,燃費は8km/Lぐらいです(笑.
いつもはハーフスロットルの5km/hぐらいで走ってます.これだと10km/Lぐらい持ちますね.相考えると,ジェイモくん,1馬力の2サイクルですが,そこそこ燃費良いですね.船が軽く,スリムだからでしょうか.
その他の低燃費化手法
この記事では漁船のおおよその燃費をお伝えしたかったのですが,その他の低燃費化手法について参考pdfに基づき簡単にまとめます.
・船床やプロペラまわりの掃除
船体やプロペラの掃除をして,149GT級の大型マグロ漁船の例ですが燃費は12%向上したとのこと.
・軽量化
漁に使う道具などを軽量化して積載量を減らす.
1時間あたりの燃費が8%向上したとのこと(大型の39GT級の旋網漁船で7.6トン削減した場合ですが・・・)
・可変プロペラピッチ
小型漁船には基本的に搭載しないとおもいますが,可変プロペラピッチにおいて,マニュアルで切り替えを実施した場合,大型船であれば3%〜10%削減できるとのこと.
・プロペラフィン
プロペラの前方,後方にフィンをつけてプロペラが生み出す動力を高効率化した場合,3%から5%の削減ができるようです
・船体(船床)付加物の抵抗
魚探などが突出して抵抗となっている場合,これらを適切な形にすれば,数%〜10%の燃費削減となるようです.
・プロペラガードの楕円化
ロープ巻き込みなどを防ぐためのプロペラガードですが,これをなるべく抵抗を減らすように楕円形にすると約15%の馬力節約ができるようです.これは小型船にも当てはまりますが,そんなにガードをつけている船いないですよね.ちなみに楕円形にしてもプロペラガードが無い場合とある場合では20%ほど馬力を上げないといけないと言われているようです.
この他にも色々と施策が書いてあり,面白い資料なので,ご興味あられるかたは是非本体資料を御覧ください.
にしても,漁船の燃費って車に比べるとなかなか悪いですよね.
でわ!
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