どうもです.
鹿児島水産技術開発センター.
http://suigi.jp/
よくブログにも登場するこのセンターですが,私も見落としていた事業報告が大変興味深かったので,その一部をご紹介します.
事業報告は以下のページから.
何が興味深いのか?
事業報告の中の「漁場開発調査」についてです.
事の発端は昭和62年の事業報告まで遡ります.
私もすべての報告書を拝見したわけでないのですが,漁場の開発調査がかなり昔から行われていたようです.
何故この年に着目したのか?それは遊漁船ではまず行くことが出来ない,東シナ海の大陸棚斜面域での調査が記録されているからです.
※他の海域はもう少し前から調査されているようです.
報告書によると,この海域は昭和60年〜62年にかけて海底図が作成され,新たに幾つかの瀬礁が見つかったが,それらに生息する魚種が不明であるため,調査したとのこと.
ちなみに,報告書には延縄を行った場所まで書いてあります.
調査水深が120m〜585m.エサはイカの切り身.
もう,これを聞いただけで結果が気になって仕方がない人が居ると思います.
結果は,24種類の魚水とサメ類が9種漁獲されたとのこと.
量的に多いものを上げると,ユメカサゴ,アカムツ,アカアマダイ,アラ,キダイ(レンコダイ)等と書かれています.
この時代になってやっと大陸棚域の調査が始まり,すでにアカムツやアマダイ,アラなどが漁獲されていたということに感慨を覚えました.
で・・・・これから毎年縦縄式底延縄での調査が載っているのです.
幾つかの年で気になる調査結果をピックアップしてみます.
翌年の調査,翌年の63年の報告では,東シナ海大陸棚海域に加えて,奄美海域も調査してあります.
奄美海域の調査水深は114m〜678m.(まだジギングで攻めれる水深です)
有用と思われる魚種はハマダイ,アラ,キダイ,アオダイ.
漁獲水深は,ハマダイ350m〜450m,アラ:500m〜690m(笑.キダイ,アオダイは245m〜300mだったとのこと.
これだけで色々と有益だと思います.
奄美にもアラ居るんですね.そしてこっちよりだいぶ深い.
また,斜面部については198m〜547mでの調査.
有用と思われる漁獲資源は,ユメカサゴ,アラ,クロムツ,アカムツ,カサゴ.
ユメカサゴ250m〜320m,アラ200m〜370m,クロムツ200m〜260m,カサゴ類200m〜230m,アカムツ240m〜300m.
とのことでした.こっちのアラは鹿児島近海のアラの水深と似ています.
黒潮の影響でしょうね.奄美では200mとかでもかなり水温高いですから.
平成2年には薩南海域,種子島東海域での調査も追加されています.
種子島東海域の調査は比較的浅場の46m〜146m.薩南海域は254m〜390mでユメカサゴ狙いとのこと.
種子島東海域ではキダイ,カイワリ,フエダイ類,ハタ類,ベラ類,エソ類など浅場ならではの魚種が取れたようです.
薩南海域では,ユメカサゴ大量だが,アラ,アカムツは少なかったと書かれてあります.
ここでいう薩南海域とはおそらくですが,津倉より南,草垣より東,黒島より北,東.あたりの海域を差していると推測しています.
翌平成3年には東シナ海と熊毛海域の調査.
熊毛海域というとあんまり馴染みがないですが,要は種子島,屋久島周辺海域だと思います.
熊毛海域での調査水深は147m〜405m.
有用魚種はユメカサゴ,アラ,アカムツ,クロムツ,ハチジョウアカムツ,ハマダイ,キダイ,ツボダイとのこと.
アカムツは290m〜300m,ハマダイは279m〜350mで漁獲されたとのこと.
やっぱり屋久島,種子島にもアカムツ居るんだ!と思いました.
平成4年.
東シナ海と薩南海域.
薩南海域ではアカムツが303m〜344mでの漁獲があったとのこと.
この報告を受けて,もう少し深いところのアカムツも開拓していけば面白いなぁと思いました.
平成6年には奄美大島海域で金目鯛を目的とした調査も行われています.
水深が395m〜900m.金目鯛は5匹しかとれなかったとのこと.他にはナンヨウキンメ,ハマダイ,メダイ,クロムツ,アヤメカサゴ,ユメカサゴ,ツボダイなど.水深の記載は無し.
また,屋久島西方海域での調査もありましたが,アナゴ,タイワンヤモリザメ,フトカラスザメ,ズナゾコダラ,ベニメヌケの5種類のみ漁獲されたとのこと.水深不明.
薩南海域では相変わらずユメカサゴ,アカムツ,アヤメカサゴ,クロムツ,メダイ,アラなど採れたとのことです.
平成7年にはキンメに本腰を入れたのか奄美での調査,あとは薩南での調査がされています.
奄美での調査は467m〜1152mまで.
キンメは31匹獲れたようです.
金目鯛は600m〜700mでの漁獲.さらにツボダイが450m〜700mで漁獲があったと書かれています.
薩南は相変わらず.ユメカサゴ,イズハナダイ,アヤメカサゴ,ヒオドシ,アカムツ,クロムツ,メダイ,アラ.
翌年,平成8年.
金目鯛に熱が入ります.
奄美での調査回数は21回.
調査水深は340m〜880m.
キンメは57匹獲れたようです.MAXで3kgオーバー.
一番多い魚種はツボダイだったようです.
キンメは600m〜700m,ツボダイは450m〜700mとのこと.
東シナ海大陸棚調査も行われており,ユメカサゴ,アラ,キアマダイ,アカムツなど獲れたようです.
薩南では154m〜380mを調査して,ユメカサゴ,キダイ,ムツ,アヤメカサゴ,アラ,イズハナダイ,アカムツなんかが獲れたようです.
平成9年は引き続き奄美での調査と薩南海域での調査.
奄美での調査でメダイが500m〜700mで漁獲されたと書いてあったことに驚きました.
その後も同じような調査が続きます.
また,これまで冷凍イカの切り身だったエサに加え,イカゴロ?という人工餌も使って,切り身と人工餌とで釣れる比率が違うのか?などの調査も行われていました.
平成12年を最後にこの延縄調査の結果は載らなくなってしまいました.
約14年に渡って,何回も調査されたようですが,結果として,アカムツは鹿児島の幅広い地域に生息しているということが分かりました.
釣りをやっててもわかりますが,ユメカサゴは比較的,何処にでも居ます.
でもアカムツはある特定の場所にしか居ません.ある程度幅広くは分布していて,ある意味で何処にでも居るは居るのですが.
薩南海域なんて中深海ジギングで出る船なんか1隻もありません.これから開拓しがいがあるんじゃないかなぁと思います.
もう少しピンポイントでちゃんとアカムツ,アラのいる場所を探せば十分勝負になると思いました.
奄美海域ではキンメの3kgオーバーが釣れているということにも驚きでした.
こっちにもいるんじゃないかなぁと思ってます.いくつか目星をつけてるポイントがあります.
新島のキンメなんかも流行りの兆しを見せていますが,鹿児島の海は本当に未開拓です.
だから何が居るのか分からないワクワクがありますね.
今回は事業報告書の中の延縄だけをピックアップしましたが,他にも面白い情報が載っているので,是非チェックしてみて下さい.
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