どうもです.
今回はPE3号のドラグ設定と,ハイドラグにおける注意点について書きます.
ターゲットはカンパチ,マハタ,クエに絞って書きます.
リールはベイトリールを前提にします.
さらにファイトストタイルはストーレトファイト主体とします.
スピニングの場合やターゲットがマグロ,ロッドを大きく曲げるファイトスタイルなどの場合は別だと思って下さい.
また,あくまで私の考え方に基づくものですので,必ずこれが正解というわけではありません.
ただ,ドラグ設定には理論的な根拠はあった方が良く,感覚で設定すると大物とのファイトの場合は痛い目を見ることがあります.
強ければ良いという思考は理解はできますが,時として魚を逃すことにもなります.
記事の内容は
ドラグの最大値はどのようにして決定されるのか?
最適なドラグ値がどのうように決定されるか?
です.
最大値を決める上で考えなければならないのは以下の2点です.
1.システム強度
2.使用リールのドラグの味付け
そして,最適なドラグは以下の5点を考慮して決定されます.
特に3は無視している人が多く,「実用的なドラグの最大値」はこれで決まると言っても過言ではないので,
ちゃんと考えておくことが必要となります.
3.ラインの耐摩耗性
4.ライン放出による外径変化
5,地形
6.ターゲットとそのサイズ
7.使用しているフック
8.自分のスタイル
それぞれ簡単に解説します.
まずは最大値.これを知ることは大事です.
最大値以上にドラグをかけると・・・ラインが切れるからです.
1.システム強度
これが最も大事な事項だと思います.
PEライン本線の強度,リーダーの強度,PEラインとリーダーを結ぶノットの強度,リングに結んであるノットの強度
色々なものをトータルしてシステム強度と称します.ここでの強度は破断強度を言っています.
基本的に私のPE3号にフロロカーボンリーダーの14号以上を結束したシステムでは,静的なシステム強度が約20kgあります.
これは「私の」システムの話です.
PE3号システムでも10kg程度の強度しかない人は沢山います.
ノットの強度は測っておいて損なことはないです.ちゃんと把握しておくことが何よりも大事です.
測ったことないという人に限って大事なところで大きな魚をブレイクしているような気がします・・・.
PEラインに書いてある強度はあまりあてにならないので測ることが重要です.
ではシステム強度が20kgあったとして,ゆっくり滑り出す状態で20kgのドラグをかけれられるか?というと・・・答えはNoとなります.
次に続く.
2.使用リールドラグの味付け
ドラグ値はゆっくり出ている時と勢いよく出る時で変わります.
基本的には,速く引っ張るとゆっくり引っ張って設定したドラグ値よりも高く出ます.
もう少し正確に言えば,引っ張り速度によってドラグが作動し始める値が異なり,早く引っ張るほどドラグ作動時に高い値にまで達してしまいます.
私がメインで使用するリール,アキュレートも引っ張る速さによって変わります.
速く引っ張ると2kgほどゆっくり引っ張って設定したドラグ値よりも高くなるので,それを見越した設定が必要です.
オシアジガーでも瞬間的に2kg程度上がる条件はあります.
またこれはアキュレートに限った話ですが,ちょっと強いドラグが作動し続けると「設定」ドラグ値が上がるという現象が起きます.
これがおおよそ1.5kg〜2kgのドラグ値上昇です.これは先に説明した勢いよく引っ張るとドラグ値が上がるという話とはまた別で,アキュレート特有の構造の問題によって生じます.
したがって・・・.例えば7kgで設定していても瞬間的には11kg程度の負荷がかかる場合があります・・・.
また,オシアジガーだと熱ダレの影響で,ドラグが作動して摩擦熱を持つと,ドラグ値が下がる現象も起きます.
以上のようにリールは色々個性があるので,個性を把握したドラグ設定が必要になります.
瞬間的には,システム強度が20kgあれば,ドラグ値上昇要因を考慮に入れると,静的な滑り出しでのドラグ設定は15kgぐらいまではやっていてもすぐには切れないということになります.
では次に最適なドラグ値を考えます.
例えば,システム的に12kgが最大値であったとして,12kg常にかけるというのは愚の骨頂です.
最終的なゴールは魚を船に取り込むことであるため,それを達成できる可能性の最も高くなるような設定にするのが望ましいと考えます.
そこで,最適なドラグ値設定のために考えないといけないのが後半部分を考えます.
3.ラインの耐摩耗性
4.ライン放出による外径変化
5,地形
6.ターゲットとそのサイズ
7.使用しているフック
8.自分のスタイル
繰り返しになりますが,3はかなり大事です.
説明を続けます.
3.ラインの耐摩耗性
これはかなり重要な要素で,ラインは新品の状態が一番強度が高く,使用に伴って色々なで擦れて劣化していきます.
ガイドとの摩耗,ラインとラインの摩耗,スプールへの食い込み,手で触れるなど・・・.
基本的にラインが物に触れる場所では摩耗します.特にリーダー結び近辺の劣化は激しいので,私の場合は一度使用したら次の回では約10mほどPEラインを捨てて結ぶようにしてます.
使用中のお祭りやバックラッシュなども強度低下する要因です.
その程度によって劣化は異なるので,一概になんとも言えませんが,極力ラインは新品に近い状態で維持しておくのが良いかと思います.
特に根がかりで強い負荷を掛けるとスプール付近やガイドとの接点での摩耗がが激しく,かなりの強度低下をする場合があるので,根がかりを切る場合にははかなりの注意が必要です.
また,同様にハイドラグをかけるときのスプール上での摩耗が意外と激しいと最近は感じています.
実体験をもとに書けば,私がメインで使用するPEジガーULT3号でドラグ設定を15kg程度にしている場合,ドラグが作動してしまったら,そのときスプール上から出て行った部分というのがかなり損傷します.それを数度繰り返すと強度が下がってきて,負荷が15kg程度でも切れてしまいます・・・.
今のところまだ最適化はできていないのですが,PEジガーULTの3号を使う場合,ドラグ値は高くても短時間勝負なら12kg程度までが良いと今のところ思っています.
たまにハイドラグでやってる人がちょっとやりとり(ドラグ出される)した後にかなり上で高切れするというシーンを目撃することがありますが,これスプール上での摩耗による高切れのことが多いです.
耐摩耗性の高いPEラインを使用するか,号数をあげる方がいいと思います.号数をあげてまでそんなにハイドラグでやる必要はないようにも思うのですが,そこはスタイルなので.
スプール上での摩耗は考えていない人が多いので,ここで書いておきました.
総じて以上のことを勘案すると・・・.
私のPE3号システムで長時間ファイトする可能性を考えると,かけても良い最大ドラグ値というのはゆっくり引っ張る時で12kg程度までが安全圏.
と思って私はドラグ設定をしています.
静的な状態で12kgであれば,勢いよくドラグが出る時のドラグ値上昇と,リール個性のドラグ値上昇でMAXでも負荷としては瞬間的に17kg以下ぐらいになりますので安全圏となります.
次に
4.ライン放出による外径変化
ここでは外径の変化に触れます.
ラインの放出が放出されるにつれて,スプールにラインが巻かれている最外径が細くなります.
ドラグが作動するかどうかはトルク値(回転軸まわりのモーメント)で決まります.
トルクは回転軸からの距離×力で決定されるため,糸が巻かれている外径が小さくなると,その分,大きな力で引っ張る必要があります.
もし,回転軸からの距離が1/2になったら,ドラグを作動させるのに必要な力は2倍必要になります.
ということで,ラインがパンパンに巻かれた状態でのドラグ設定よりもラインが放出された状態では必ず大きな力が必要になります.
どれぐらい外径が減るかはリールのスープル幅や水深,PEラインの号数などによって変化するため,
今釣っている水深で,どれぐらい外径が減るかは把握しながら,ドラグ設定をする必要があります.
以上があまり人の考え方とかが入り込まない「不変」な事実です.
(一部不正確なところはあります)
ただ,これは考え方とかで変わるという話ではありません.
これらを大前提で踏まえた上で,最適なドラグ値設定を行う必要があります.
そもそもドラグはなんのためにあるのか?
を考えると,
魚が強く引いた際にラインが切れないように
程度に作動させて魚を弱らせる
魚にかかったハリが伸びないように
身切れ防止
などがあると思います.なので,強ければ良いというわけではなく,
「適度」なドラグが必要となります.
私の場合は主に以下を考えて設定するようにしています.
以下は個人の考えが色濃く出るので,私の考えが正解というつもりもないですし,
いろいろな人の意見を聞いてみたいところです.
最終,魚が獲れてればとりあえずOKなところかなと.逆に言えば,魚が獲れていないのならどこかに問題があります.
5.地形
これは簡単に考えると,
基本的に荒く根ズレのリスクがありそうなら少し強め,根ズレのリスクが低そうなら弱めと考えます.
私の場合はPE3号セッティングでアキュレートの場合だとストライクで7kg〜9kgをメインとしていて,
アキュレートのストライクで8kgに設定していることがほとんどです.
少し根が荒い場所でもストライク9kg〜9.5kgです.
根ズレの心配が少ない場所で7kgという感じです.
6.ターゲットとそのサイズ
カンパチ,マハタ,クエ.
ターゲットと狙うサイズでかけた方が良いドラグ値は異なります.
とりあえずカンパチとマハタ,クエで大別します.
カンパチの場合
カンパチを止めなきゃ獲れないと思ってる人はほぼほぼ失敗します.
よっぽど強いハリやラインで魚をかけない限り,カンパチはある程度ドラグ出さないと獲るのが難しいと思います.
そして適度なドラグで適度に出し,巻けるとき巻くが基本の魚です.
ターゲットの大きさ別に,
〜5kgぐらいまでだと口切れの心配も考えて,4kg〜7kg程度が適性と思います.
〜15kgで6kg〜9kgぐらい.
で,25kg前後以上になると10kg〜12kgぐらいが私の中での適正です.
これは下に向いた頭を素早く持ち上げられるという意味でもこれぐらいの負荷をかけた方が早く勝負がつくからです.
実際は,ドラグが高速作動すると,基本のドラグ値があがりますので,+1.5kgぐらいのドラグ値になります.
ドラグ値が変化しないようなリールだと,ストライク9.5kg程度が大型を獲るためのセッティングとしてはいいと思います.
マハタ,クエの場合
私の場合は根ズレリスクがあるような場合だと,ストライクで9kg〜10kg前後を設定します.
最初が肝心で,ある程度あげたらドラグは緩めてしまえるので,カンパチのようにドラグ値の出し入れはあまりせず,ドラグ値を抜く方だけで基本やりとりします.
マハタ,クエについてはかかってすぐ反転されないようなテンションを保つことがドラグ値よりも大事で・・.
マハタで29.5kg,クエは30kgまでは釣っていますが,上記設定でちゃんとしたやりとりをすれば,10mも出されることは無いです.
反転されると厄介そうです.もう少し大きいサイズを釣ってみないと何が正解かはまだ分かりません.
7.使用しているフック
弱いフックを使っていると,簡単に伸ばされるので,ドラグ値を低く設定せざるを得なくなります.
私が愛用していたTCスパークの5/0は昔は10kgドラグぐらいまでは耐えていましたが,今のTCスパークだと8kgぐらいでも簡単に伸ばされることがあります.
これは自分の使用するフックでいろいろなドラグ値を試して見るのが良いと思います.
8.自分のスタイル
適切なドラグ値はスタイルでもかなり変わると思います.自分のスタイルをよく考えて何が最適か考えることが大事です.
私の場合,指での追加ドラグは絶対にしません.そして,一般の人よりかは少しだけハイドラグ気味だと思います.
(ここで書いていないゴムボートでのライトなジギングとかだと指ドラグ結構使います)
これはアキュレートのドラグ性能が好みであることと,指ドラグで不均一に負荷がかかるのが嫌なこと,少しでも磨耗させたくないことからです.
使うリールや考え方で色々変わりますので,何が正解かは人によって変わると思います.
ただ,魚を釣り上げることができなかったら,それは失敗で,何かが悪かったということです(ドラグ値だけが悪かったわけではないです).
それを修正してまたトライアンドエラーでターゲットにアプローチしていくことが釣りの醍醐味と思います.
ということで,後半はさらっと流しましたが,ドラグ設定奥が深いと思います.
特に正解や守らなければならないルールみたいなものはないのですが,「事実」と「スタイル」は切り分けて考えて・・・.
事実は把握しつつ,自分のスタイルに合ったセッティングを見つけ出していくことが重要かなと思います.
最終,魚が獲れていれば・・・・.イイと思います.
ただ,10回かかって9回切られて,1回獲れたとかだと信憑性が怪しくなってくるので・・・.ダメかなぁと.
たまたまじゃん!っていう領域を出られないので.
せめて2回に1回は獲れるというのが確率論的正解のような気がします.
でわ.
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