どうもです.
今回は,鹿児島県の「水産物卸売市場統計年報 令和5年版」を見ながら,今の鹿児島の魚の動きって実際どうなんだろう,という話を書いてみます.
産物卸売市場統計年報
原本はこちらから.

令和5年度版が最新になっています.
令和5年度版は令和5年の12月27日に公表と書かれていて,それまで毎年分公開されていたようです.
(令和5年度版なので令和5年度中に公開されている??のはよくわかりません.年号間違いかもしれません)
また,公開まで数年かかるケースも有り・・・(例えば令和元年版は令和3年1月公開)
現在令和8年ですが,令和6年版,7年版は公開されていません.
はじめに
釣りをやっていると,つい「今年は何が多い」「あの魚が少ない」みたいな話になりがちです.
それはそれで現場の体感なので,実際かなり大事と思います.
ただ,市場の数字を見ていると,もう少し別の景色が見えてきます.
どの魚がどれだけ水揚げされたのか.
どの市場に集まっているのか.
そして,どれぐらいの金額になっているのか.
このへんを追っていくと,鹿児島の水産の現実が,思った以上にくっきり出ているなと思いました.
まず結論から言うと,「魚は減って,値段は上がった」です.

令和5年の県内市場全体の取扱数量は 159,825トン,取扱金額は 642億9,824万2千円,平均単価は 402.3円/kg でした.前年と比べると,数量も金額も落ちていますが,平均単価は上がっています.
平均単価が上がっているので,「まあ悪くないのかな」と見えてしまう.
でも,実態としては,量が減ったぶんを値段でなんとか経済規模を支えている という構図です.
魚がたくさんいて,そのうえで高く売れているなら水産業にとっていい傾向かなと思います.
しかし,量が落ちているゆえの単価上昇なら単純に無いものが高くなる.需要と供給のバランスで値段が決まってるだけのような感じです.
やっぱり鹿児島の市場は,かつおがデカい

魚種別で見ると,令和5年の数量1位は かつお 76,485トン で,全体の 47.9%.ほぼ半分です.
金額でも 236億7,813万2千円 で 36.8% とトップでした.
やはり鹿児島の市場を支えているのは,まず,かつおだと言えます.
ただ,それだけでは終わらないのが面白いところです.
数量の上位には,まぐろ類,ぶり類,さば,その他魚類が並びますが,金額で見ると ぶり類 と まぐろ類 がかなり強いです.
あとは瀬物類は数量では10位の2,487トンしか揚がっていませんが,金額では5位で約2,000,000千円,つまり20億円.高単価な証拠だと思います.真鯛に関しては,量ではランク外ですが,金額では15億ぐらいと8位にまで上がってきます.
量が揚がる市場と,高く売れる市場は違う
鹿児島には中央に市場ありますが,地方にもあります.
それぞれの漁協などが持っている市場です.これらは浜(ハマ)と呼ばれます.
市場の値段が浜値と言われたりしますが,そのハマです.
鹿児島は中央以外に44のハマがありますが,一般によく動いてるハマは少数です.
※資料の16ページにすべての浜が載っています.
で,この市場別に見ると,数量上位は 枕崎市漁協 66,915トン,山川町漁協 41,254トン,鹿児島市中央卸売市場 20,982トン でした.
一方,金額では 枕崎市漁協 179億8,493万3千円,鹿児島市中央卸売市場 159億2,530万3千円,山川町漁協 133億5,896万7千円 です.
この並びを見ると,鹿児島市中央卸売市場の立ち位置がよく分かります.
量では3番手なのに,金額では2番手まで上がってきます.
しかも平均単価は 759.0円/kg.
県全体平均の 402.3円/kg と比べると,かなり高いです.
対して,枕崎は 268.8円/kg,山川は 323.8円/kg です.
これは単純な優劣ではなくて,市場の役割が違うということだと思います.
枕崎や山川は,かつお節の産地なので,かつおの水揚げ漁が圧倒的です.
また,枕崎はまき網船も水揚げするので,サバなどもかなりの量が水揚げされます.
安い魚だけれど量が取れる魚メインなので,おのずと単価は下がってくる,一方で,鹿児島市中央市場は,真鯛や瀬付き物などの高単価な魚が集まる市場と言えると思われます.
「獲る」だけでは足りない.
どう売るかまで含めて,はじめて勝負になる.
今の鹿児島の水産は,そういう段階に入っているのだと思います.
単価が強い魚は,やっぱり強い
魚種別の平均単価を見ると,令和5年は いか類 1,783円/kg がかなり高く,たい類 1,044円/kg,貝類 1,052円/kg,ぶり類 901円/kg,瀬物類 836円/kg と続きます.
逆に いわし類 107円/kg,さば 157円/kg,かつお 310円/kg などは低い水準です.
同じ1トンでも,魚種が違えば話がまるで変わる.
当たり前なんですが,数字で見るとその差はかなり露骨です.
市場全体の金額を押し上げるのは,やはり高単価魚種です.
その一方で,かつおのように単価はそこまで高くなくても,圧倒的な量で全体を支える魚もある.
この両方があるから,市場は成り立っているんだと思います.
長い目で見ると,量はかなり減っている
平成25年を100とした指数では,令和5年の県全体は 数量70.0,金額99.1,単価141.4 です.
これ,かなり重い数字ではないかと思います.
ざっくり言えば,この10年で
量は3割近く減った.でも金額はほぼ横ばい.その代わり単価は4割以上上がった.
ということです.
いいところだけ言えば,高付加価値化が進んだとも読めます.
でも,もっと率直に言えば,量の減少を値段で隠しているとも読めます.
自分は,どちらの面もあると思います.
ただ,楽観だけで見るのは危ない気がします.
水揚げがさらに細れば,単価上昇だけで支えきれるとは限りません.
だからこそ,今後は量が戻ることを祈るより,少ない魚をどう高く,どう持続的に売るか を考えるほうが現実的だと思います.
まとめ
令和5年の鹿児島県の水産市場を一言でまとめるなら,
魚は減った.でも,単価は上がって全体の経済規模はあまり変化無し.
そして,もう少し踏み込むなら,
かつおが市場の土台を支えていること
ぶり類やまぐろ類が金額面で効いていること
量を動かす市場と,高く売る市場は違うこと
これからは「獲る力」だけではなく「価値に変える力」が重要なこと
このあたりが,今回の統計から見えてきたことだと思います.
海が豊かであることは,もちろん大事です.
でも,豊かさだけでは勝てない時代でもあります.
どれだけ揚がったか.
それも大事.
ただそれ以上に,魚は採れなくなってきているので,
その魚をどう流通させて,どう見せて,どう値段に変えるか.
そこのあたりが,これからもっと問われていくのだと思います.
より細かいデータは各人が読んだほうがオモシロイと思ったので,概略だけ書いてみました.
でわ.

コメント